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ワイン女子物語〜サキの場合⑨〜

実は試飲会は●●だった?!大学の友人ユイに誘われた初めてのワイン試飲会で、サキは面食らうことになる…?!

2017.01.23  Written by ゆれこ

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ー前回まであらすじ

無い無いづくしのアラサーOLサキは仕事を辞め、親戚のおじさんが経営する乃木坂のワインショップで働き始めた。(サキの紹介、第一話はこちら

大学時代の友人でワイン好きなユイをお店に招いて、山梨での話や写真を見せながら店内や貯蔵庫を回る。そこに偶然現れたユウトに、サキはなんと食事に誘われてしまったのだった。(前回のお話:「ワイン女子物語〜サキの場合⑧」はこちら)そのユイと今日は六本木で開催されるワインの試飲会に来ている。

サキはユイのゴリ押しもあって、ユウトと食事に行く決心をする。

「で、誰なのよ、あれは。」

ユイに誘われたワインの試飲会に向かうため、乃木坂駅で待ち合わせて会場であるミッドタウンに向かう途中で、唐突に聞かれた。

「幼馴染だよ、地元の。」

「それは前に聞いた。じゃなくて、どういう関係値の男なのかってことよ。」

「何もないよ、本当に地元が一緒の先輩で、高校生のときたまに話したりしたくらい。」

「向こうは何もないでしょうね。あんたは何もなくないでしょう。」

私は観念して、ユウトは高校のとき、たまに二人で語ったり本を借りたりする仲だったと話した。彼の性格に自分の大学選びや就職は影響を受けたかもしれないとも打ち明けた。“好きな人”、という表現は違う気がして、言わなかった。

「ふうん、そんな彼に10年ぶりにここで再会したと。そして前回私の目の前でデートに誘われたと。んで、どうするの?いくの?」

「いや…それはまだ…。」

なぜだかユイに怒られているような気分になってきたが、私自身、迷っていた。ユウトの誘いにすぐにはYESといえない自分がいた。

「行ってみなよ。このまんま彼の存在に縛られていても仕方ないでしょ。」

ユイの言葉は恐ろしいくらい図星だ。私は大学も社会人になってからも、幻のようなユウトの存在を基準に男性を見ているのかもしれなかった。

しかし、あれから10年もたって、ますます活躍しているだろうユウトに、何も持っていない自分のことを知られるのが恥ずかしかった。そして、10年も経てば大人として持つべきものは持つ、つまり、家族がいるのではないかという想像も、私の心をチリチリとつついている。そんな昔の話に同様している私はどうかしていると、自分でも情けなく思う。

「わかった、行ってみる。」

「お、珍しいじゃん。いつも2ヶ月くらい悩んで結局やらないって選択をするサキにしては。」

「相変わらずキツイこと言うね~(笑)」

「さあ、着いたよ!ワイン飲もう飲もう!!」

ミッドタウンの裏にある公園が見えるフロアに、光が差し込む開放的な空間があり、試飲会はそこで行われていた。

いくつかのテーブルとワインボトル、冷えたワインクーラーが見えた。

「女性の方はこちらで受付して、番号札のテーブルの女性席へどうぞ。プロフィールカードをご記入いただきながらお待ちください。」

プロフィールカード?見るとそこには名前や年齢のほかに、趣味や好きなワイン、好きな男性のタイプまで(!)書く欄がある。

「ちょっと待って、“マッチングしたら連絡先を教えてもよいYES/NO”って、

何これ?!」

「これね、実は試飲会兼婚活パーティーなのよね。まあ…荒療治ってやつよ。」

ニヤっとしながらユイはさっさと自分のテーブルに行ってしまった。完全に騙された。知らない人とワインを飲みに来たんじゃないのに…。人見知りの自分が一気に表に出てきて、ユイに断って帰ろうかとも思ったが、ワインは飲みたかったし代金も払ってしまったし…。

気乗りはしないまま、仕事のためだ!と自分を納得させて参加することにした。

ワイン試飲会は実は婚活ワインパーティーだった!?さわやかな相川との出会い。

「よろしくお願いします!」

元気な声の主は、先に着席していた同じ歳か少し上くらいの元気な男性だった。

「女性はこちら側なら自由に座って良いらしいですよ!」

「あ、ありがとうございます。」

『本日のワインのテーマは“ニューワールド”です!』

今日の司会らしき人が、説明を始めた。

フランスやイタリア、ドイツといった古くからワインを醸造している国々が「オールドワールド」と呼ばれる一方で、アメリカ、ニュージーランドやチリ、南アフリカなどヨーロッパからの入植者がワイン造りを始めた国を「ニューワールド」という。(「魅力的なワインがいっぱい ニューワールドワイン!」)

最近飲食店やお客さんからもよく耳にする「ニューワールド」のワインは品質が高まっていて価格も手ごろで人気が出ている。

恥ずかしながら、今まではフランスやイタリアワインの勉強で手一杯で、あまり飲んだことがないエリアなのだ。ここで数をこなせるのはありがたい。

「ルールを説明します!まずはこれから数種類のニューワールドワインのテイスティングを体験してもらいます。ペアになった男性と指定されたワインについて表現してみてください。」

ルールだなんて、本格的に婚活パーティーじゃないか。

最初に運ばれてきたのはニュージーランドのワインだ。

『このワインはニュージーランドの“ウィザー ヒルズ ソーヴィニヨンブラン”のヴィンテージは2014です。ニュージーランドは日本と同様、細長い国土を持つので、温暖な地方や寒冷な地方など、土地柄によってぶどうの栽培品種が異なるほか、同じ品種でも違った特徴が見られます。

このワインのぶどうである「ソーヴィニョン・ブラン」はアカシアやライムを感じさせる柑橘系の香りが立つ、華やかなワインです。

今説明したようなフルーツや花の名前、今まで食べたことのある食べ物でもよいので、感じた味を自由に表現してみてくださいね。』

「相川です!歳は32です!よろしくお願いします!」

目の前のこの明るい男とペアになった。いきなり二人で味を表現してみろといわれても、何からしゃべればよいのか。

そう考えている間にも、相川は自由に話し始めた。

「このワイン、僕好きですね。あ、“好き”じゃ表現になってないか。白はフルーティーでライトなのがすきなんですよ。白はたくさん飲みたいし(笑)

「白ワインは私もフルーティーなものが好きですね、あ、フルーティーではなく“果実味”って言葉を使うと本物っぽいって友達に教わりました(笑)

(「的確に表現したい!ワインの味わい4大要素

ニューワールド詳しくはないんですけど、こういう果実味のあるものが多いみたいですよ。逆に北ヨーロッパのものは果実味が少なく、いわゆる辛口のものが多いみたいです。」

「へえ、詳しいですね!!“果実味”ってちょっとかっこいいですね。これからは果実味っていいますね!!」

「一緒に来ている友人の受け売りですよ。」

「へえ、そうなんですね!そしたら僕も連れときているのでフリータイムで合流しませんか?」

「ええ、良いですよ。」

そういうと、次のワインが運ばれてきて、自己紹介カードを渡し、相川とのペアは解消された。こういうよくしゃべる男性とは今まであまり話したことがないが、とても素直そうで悪い気はしなかった。

気が重かったフリータイムが、ユイとこの相川と気軽に楽しめる気がしてきて、少しだけ楽しみになった。

40代なのに。。。一方的にしゃべりまくる男、渡辺

次のペアはおそらく40代後半だろうと思われる渡辺という男だった。

お酒が入って少しリラックスした私は、自分から話しかけた。

「よろしくお願いします。ワインお好きなんですか?」

「よろしく。この試飲会はまどろっこしいね、どんどんいろんなもの飲みたいのに。」

「そうですね、後でフリータイムもあるようなので、そこで自由に試飲できると思いますよ。」

「僕はね、ワインは毎日飲むから、こんなにお金を払ったことはないんだよね。いつもスーパーの2,000円以下のものをたくさんかってあるからね。」

そんなに文句言うなら参加するなよ、と心の中で毒づいた。何とか話をあわせようと質問を織り込んで会話しているのだが、まったく無視して一方的に話しまくっている。この歳にもなって会話が成立していないことに気づかないのだろうか、と思いつつ、ワインの味を楽しむことに集中した。

つづく。

この記事を書いた人Author

ゆれこ

辛口泡系とフルボディの赤のしっかりしたワインと肉料理が好み♩お勉強のために"神の雫"を読み直しています!


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