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ワイン女子物語〜サキの場合⑧〜

インスタ開設、ワイン自慢、積極的になっていくサキに訪れるチャンス。。。?

2017.01.22  Written by ゆれこ

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無い無いづくしのアラサーOLサキは仕事を辞め、親戚のおじさんが経営する乃木坂のワインショップで働き始めた。(サキの紹介、第一話はこちら

そこで出会うお客さんやワインを通じて知り合う人々に影響を受け、新しい自分を発見する。おじさんのすすめで山梨のワイナリー見学に行ったサキは、ぶどうの生命力やそこで働く人たち、特に若くして女醸造家という道を選んだマミさんに出会い衝撃を受ける。どうしても醸造家になる!そういう強い意思のようなものだけでなく、マミさんには、今目の前にあるものに情熱を注ぐ、そういう強さがあった。(前回のお話:「ワイン女子物語〜サキの場合⑦〜 」はこちら)

SNSに疎かったサキがまさかのインスタ開設。大学時代のユイに山梨のワインをオススメ。

山梨から帰ってから、おじさんを捕まえては畑のぶどうの写真を見せたり、マミさんの話をしたりしていた。

最初は「山梨行きをすすめて良かった。」と笑顔で聞いてくれていたおじさんも、さすがにはいはい、といって自分の仕事に戻って行ってしまった。

マミさんに会ってからというもの、影響されまくりの私は、お店の宣伝にもなるからとおすすめされたインスタグラムをひっそりと開設してみた。もちろん名前は適当だし、自分の顔写真は使わない。リア充写真をせっせと載せるためではなく、山梨で大量に撮った写真を誰かに見てほしかった。自分の撮った写真を誰かに見せたいだなんて、今までの人生で考えたことがあっただろうか?記憶にない。

自分の撮った写真が“インスタ映え”する写真かどうかはわからないが、ワイン好きそうな人を、そっとフォローしておいた。

「サキ?」

そう呼ばれて振り返ると大学時代からの数少ない友人、ユイがいた。ユイは大学を卒業して就職した会社でSEをしており、今ではプロジェクトをまとめる立場にあるらしい。男だらけの環境で働いているせいもあってか、サバサバしているし結婚に焦っている様子もない。ワインが好きなこともあり、山梨から仕入れたワインやグラスの話をしたくて、お店に呼びつけたのだ。

「へえ、なんかなじんでるよ、エプロン姿(笑)」

「ほめ言葉としてもらっとくわ(笑)」

気を遣わずに突っ込みあえるのが久々だし、ユイの好きなワインの話を同じ目線でできるのがちょっと嬉しい。

「これが話してた山梨のワイン!」

「へぇ、飲んだことないや。菱山ベーリーA?」

「そうそう、すごくぶどうが感じられておいしいの!しかも高くない!」

「こんなに熱弁するサキ珍しいね(笑)いっつもなんにでも興味あったけど何にも特に興味ないってキャラだったでしょ。」

「えっ、うわーーー、まさしくなんだけど。」

確かに、私がこんなにも一つのことに夢中になることはなかなかない。

ワインを飲む時にはグラスにもこだわりを!

「ここだとお客さんがいるから、ちょっと倉庫に行こう。そこにこのワインを飲む時用に仕入れたグラスも置いてあるから。」

おじさんに一言伝えて、ユイと二人で倉庫にいき、ワインを開けた。

「すごくフレッシュな香りだね!」

「さすがユイ!ちょっと飲んでみて、山梨のぶどう畑を想像してみて(笑)それから、このグラスは少し底の方が広がっていて、飲み口が小さいでしょ、山梨のワインを楽しめるグラスってマミさんが教えてくれたの。」

「へえ、グラスもセットでオススメしてくれるお店なんていいじゃん!」

ユイにオススメしたグラスはブルゴーニュワインを飲む時にも使う、ボウル部分が大きめで飲み口がすぼまっているグラスだ。空気に触れる面積を大きくして、単一種からできているワインの香りを最大限に開いてくれるグラス、そうマミ教わったままをセールストークにしているが、ユイに褒められて悪い気はしなかった。

「ユイが最近家飲みでハマってるトルブレック ウッドカッターズ シラーズには、少し大ぶりだけど、飲み口がすぼまったグラスがオススメ。大きめのボウルからゆっくりと飲むと、シラーズのスパイシーさと繊細さがより感じられるよ!」(リンク:ワイングラスの選び方上級編)

「へえ!そうなんだ!プロっぽい!」

「これはユイが来ると思って朝調べたばっかりなんだけどね。」

ユイのすすめでニューワールドワインの試飲会に参加することに。

「ねえ、そこまでグラスについて語れるなら、今度ワインの試飲会に参加しない?私も何度か参加したことあるんだけど、オープンな感じで誰でも参加できるし、場所もミッドタウンだからここから近いし。」

「試飲会か…」

実は何度か試飲会やワインイベントの情報を調べたことがある。ワインの知識=試飲会に参加、と言う位、ワインを売るなら試飲会には参加しなくては!と思っている。でも、なんとなくワインの詳しい人と話すことに気後れしているのか、人が多い場所でワインを飲んで、感想を求められてうまく表現できなんじゃないかという意識からか、なかなか足が向かないでいた。

でも、気の強いユイが一緒なら、安心かな。

言いづらい事もはっきりと口に出してくれるユイと一緒にいると、ずるいとはわかっていても安心してしまう。

大学の時、一度ユイに打ち明けたことがある。言いづらいと思っていることをユイが代わりに言ってくれるから、私は自分で言わずに頼ってしまって申し訳ないと。

ユイには「私は言いづらいと思ってないから大丈夫」とあっさり返されてしまった。そんな正直なところが好きだ。

「わかった。行こう!土日の昼間だよね?おじさんにまた休みもらわなきゃ。お店に戻ろう。」

「昼からやっているんだけど、土曜日の夜にちょっとしたイベントがあるから、それに合わせて行こう。私の好きなニューワールド系だけど大丈夫よね?」

「うん、ちょうどニューワールド系について勉強しなきゃと思ってたところ。どうしよう、何着ていけばいい?!乃木坂で働いてるのに、ミッドタウンに入るの久しぶりで緊張する!」

「そのエプロンでいいんじゃない?」

「ちょっと!!!」

「何々、楽しそうじゃない?」

突然男の人の声がして振り返ると、ユウトが立っていた。

「ユウト!!!!」

びっくりしすぎて、思わず名前を叫んでしまった。

とっさにユイの方を見ると、だ・れ・?という顔をしている。

「どこかにワインでも飲みに行くの?」

「あ、大学時代の友達がワイン好きで、今度試飲会に連れて行ってくれることになったの。」

「いいね、いろんなワインが飲めそう。ね、久しぶりだし、今度ワインでも飲みに行こうよ。番号、昔のやつから変わってないよね?」

「え。」

買い物は済んでいたのか、ユウトはそう言い残してお店を出て行ってしまった。

「ちょっと、今の誰?いきなりすぎない?」

「あ、地元の幼馴染?のユウト…」

それだけをユイに説明すると、頭がぐるぐるし始めた。ワインを飲みに行こう?誘われた?電話がかかってくる?混乱した頭で、いつかかってくるか知れない携帯電話を眺めた。

この記事を書いた人Author

ゆれこ

辛口泡系とフルボディの赤のしっかりしたワインと肉料理が好み♩お勉強のために"神の雫"を読み直しています!


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